屋内・構造物の近傍・トンネルなどGPSが届かない環境、暗所や粉塵でカメラが効かない環境でも、ドローンの位置は知り続けなければなりません。当社は、GPSレス・カメラが使えない環境に強い「無線による位置センシング」を軸に、ドローンの測位・航法支援を研究開発しています。方式ありきではなく、UWB測位・電波の到来方向推定(AoA)といった無線の手段を軸に、カメラ・GPS/GNSS・IMUとのフュージョンまで、シーンに合わせて構成します。本ページでは、取り組みの考え方と、シミュレーションによるデモ事例をご紹介します。
位置センシングの手段には、それぞれ得意なシーンと限界があります。当社の強みは、GPSやカメラが頼れない状況でも効く無線の手段(UWB・到来方向推定など)を自前で作れることです。その上で、カメラやGPSが使える場面ではそれらとのフュージョンや冗長化も含めて、用途ごとに最適な組み合わせを設計します。
| 手段 | 特徴と使いどころ |
|---|---|
| UWB測位(ToF測距) | cmオーダーの測距ができる無線測位。アンカー設置型で屋内・工場向き。当社は隊列走行の研究開発で実データ動作まで到達しています。 |
| 到来方向推定(AoA) | アレーアンテナで電波の到来方向を測り、位置を求める方式。地上側で完結し、機体は電波を出すだけ。下のデモ事例で追尾シミュレーションを公開中です。 |
| カメラ・画像 | 情報量が大きい一方、遮蔽・照明・粉塵に弱い。無線センシングとのフュージョンで弱点を補い合えます。 |
| GPS/GNSS | 屋外広域の基本手段。非GPS環境では使えませんが、使える場面では無線測位との相互補完・冗長化手段として活きます。 |
| IMU(慣性センサ) | 外部インフラなしで短時間の自己位置を保てますが、ドリフトするため他の手段との統合が前提です。 |
周波数帯・アレー構成・アンカー配置などは固定ではなく、対象の距離・精度・設置制約に合わせて設計します。
複数のセンサ(カメラ・GPS・UWB・AoA・IMUなど)を、飛行中のシーンに応じてリアルタイムに使い分け・統合するコントロールプラットフォームや、その先にあるソフトウェア定義ドローン(SDD)——ハードウェアは固定し、測位・航法の振る舞いをソフトウェアの書き換えで進化させる構成——の検討も進めています。この「固定ハード+ソフトウェア再構成」の型は、当社がソフトウェア定義の開発プラットフォームとして提案している開発スタイルと同じ枠組みです。
無線による位置センシングの一例として、地上に固定した2基のアレーアンテナだけでドローンを追尾する構成をシミュレーションでデモンストレーションしました。8素子の円形アレー(UCA)2基が機体からの電波の到来角をMUSIC法で推定し、2本の視線の交点として3次元位置を求めます。機体側に必要なのは電波を出すことだけです。
デモ構成の原理。周波数帯・素子数・アレーの数や配置は固定ではなく、用途(距離・精度・設置制約)に合わせて設計するパラメータです。
右は、移動する機体に対して1基のアレーが計算した到来角スペクトラム(MUSIC疑似スペクトラム)のアニメーションです。横軸が方位角、縦軸が仰角で、明るいピークが「電波がやって来ている方向」。機体の移動に合わせてピークが移動し、その頂点(△)を到来角の推定値として採用します。
右は、8の字に飛行する機体を2基のアレーで追尾するシミュレーションです。各時刻で2基のAoAから三角測量した「素の推定値」は雑音でばらつきますが、カルマンフィルタで平滑化することで、真の軌跡(白破線)に沿った安定な追尾(マゼンタ)が得られています。
※ 本ページは進行中の研究開発のご紹介であり、構成・仕様は検討中のものです。デモ事例は数ある構成の一つであり、「この方式のみ」を提供するものではありません。用途・環境に合わせた方式選定からご相談いただけます。