Beyond 5G/6Gに向けた材料開発——低誘電損失基板、レドーム・カバー材、電波吸収体——では、サブテラヘルツ帯での複素誘電率の把握が欠かせません。しかし従来のVNA+エクステンダによる計測は、100GHz以上では装置が高額になり、参入障壁そのものになっています。当社は、独自の光学技術を用いた周波数領域分光法(FDS: Frequency-Domain Spectroscopy)の材料計測システム「Sub-THz-FDS」を研究開発中で、300GHz帯(Jバンド)での誘電材料計測に成功し、VNAによる測定結果との良い一致を確認しました。数GHz〜1THz程度まで対応可能な、次の時代の材料計測です。
FDSは、VNA系(電気的手段)とTHz-TDS(時間領域の光学的手段)のあいだを埋める方式です。
| FDS(当社・開発中) | VNA+エクステンダ | THz-TDS | |
|---|---|---|---|
| 方式の基盤 | 光学技術(光源の波長掃引で周波数掃引) | 電気的手段(周波数逓倍) | 光学技術(フェムト秒パルス) |
| 対応周波数 | 数GHz〜1THz程度に対応可能 | 帯域ごとにエクステンダが必要 | 主にTHz領域 |
| 100GHz以下の測定 | 可能(10GHz程度から測定可) | 可能 | 不得意 |
| 100GHz超のコスト | 光学ベースのため抑えられる | 高額(研究開発投資が大きい) | — |
| 測定環境 | コンパクト | 大がかりになりがち | — |
| 取得量 | S21・S11(複素誘電率の解析可) | S21・S11 | 時間波形→スペクトル |
各方式の比較は当社プレスリリース(2026年2月)の記載に基づく概要です。用途・条件により適する方式は異なります。
総務省FORWARD事業の研究開発として、300GHz帯における誘電材料計測を実証しました(2026年2月プレスリリース)。
当社独自の光学技術を用いた計測システムです。送信はJバンド(220〜330GHz)で、送信モジュールの段替えにより他の周波数帯にも変更できます。周波数掃引は光源の波長掃引により行い、Jバンド全体で5秒程度という高速な掃引を実現。Tx・Rxともにコンパクトな機器のため測定環境の設計自由度が高く、S11の多重反射影響の軽減や、斜入射・散乱特性といったカスタム測定も簡易に構成できます。
300GHz帯において誘電材料のS21・S11を計測し、従来技術であるVNAによる測定結果と比較検証しました。右図のとおり、当システムによる結果(実線)はVNAによる結果(破線)と良い一致を示しています。
総務省FORWARD事業(2024〜2026年度)の研究開発として進行中です。製品化に先行して、評価・共同研究のご相談を歓迎します。